あったか・えっせい
「あったか・えっせい」は、玉屋の所属する社団法人日本専門店協会が主催す るエッセイコンテストです。全国の店頭に立つ販売員から寄せられたお客様と のふれあいや感動の実話を募ったもので、弊社スタッフが応募したエッセイも数々の賞をいただいております。
「あったか・えっせい」は、玉屋の所属する社団法人日本専門店協会が主催す るエッセイコンテストです。全国の店頭に立つ販売員から寄せられたお客様と のふれあいや感動の実話を募ったもので、弊社スタッフが応募したエッセイも数々の賞をいただいております。
育児休暇を終え、復職して少し経った頃の事です。
小さな女の子と男の子、そしてお父さんの3人のご家族が来店されました。
「いらっしゃいませ。プレゼントをお探しですか?」
「ママの誕生日プレゼント! ママ、このお店好きなんだよ~」
と、女の子が返してくださいました。
「これはどうかな?」
「こっちの方がママに似合うよ」
と一生懸命に選ぶ様子に、※FAとしてではなく、同じ母親として自分のことのように嬉しくなりました。お客様たちに喜んでいただきたい一心で、お母さんの好みやスタイルを細かにお聞きし、それに合う商品をたくさんご説明しました。無事3人の意見がストライプのブラウスに一致。
「ママ、チョコが好きだから、チョコもあげたい!美味しいチョコのお店はありますか?」
と女の子に尋ねられたので、すぐ近くの百貨店にある有名なチョコレートのお店をご紹介しました。でも頭の中で自分に置き換えて想像してみると、もし私が子どもからプレゼントを貰うなら有名なものや高級なものよりも一緒に楽しんで食べられるものがいいな、と思ったのです。
お見送りの際、「先ほどのお店以外にも、可愛いチョコや面白いチョコが売っている雑貨屋さんがあります。きっとお子様たちも楽しんでお母さんへのプレゼントを選んでいただけると思いますよ」と、そのお店までの道順をお父さんにご説明しました。
数十分経ったころ、別のお客様との接客でお店の奥にいると、先ほどの女の子が戻って来られました。
「どうしたの?」と声をかけると、
「チョコ買えたよ。可愛いチョコ! 私と弟の2人で選んだの。お姉ちゃん、ありがとう!」と、満面の笑顔で紙袋を見せてくれたのです。お店の前の通路ではお父さんと男の子が笑顔で手を振っていました。私は喜んでいただけたことへの安心感で涙が溢れそうになり、「よかったね。ママ、絶対に喜んでくれるよ!」と笑顔でお見送りをしました。
これまで育児と仕事の両立の厳しさに何度も心が折れそうになりました。でも母親になったことで見えてくる世界が広がったのだと、自分に少し自信が持てた出来事でした。「今の私だからこそ出来る接客」をして、たくさんのお客様に喜んでいただき、FAとして、そして母親としても日々成長していきたいと思っています。
※ FA・ファッションアドバイザー
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